8月20日西日本教会青年同盟夏の献身修養会開会礼拝説教

聖書:マルコによる福音書12章41節‐44節

説教:「主が喜ばれる献げもの」

 西日本教会青年同盟では、春と夏の年2回の修養会をしております。これまで春は15回、夏は15 回、開催してまいりました。この修養会には不動のテーマがあります。「献身」です。これから、3日間、どっぷりと、礼拝の中で、祈りの中で、讃美の中で、高橋先生の講演を聞いて学びの中で、またこうして集められた方々との交わりの中で、神さまと向かい合って、御言葉と向かい合って、「献身」について学び、皆で一緒に「献身」に向かってまいります。

 今、「献身」ってなんだろうと思っておられる方がいても、不安を抱いている方がいても心配いりません。何の心配もいりません。神さまの招きに応えてここにこうして来られたこと自体が一つの献身の証しなのです。これから、3日間を過ごして、さらに献身の歩みを進めてまいります。招いてくださった神さまがお守りくださって、お導きくださいます。神さまのまなざしを感じながら、みんなで一緒に良い修養会を造り上げてまいりたいと願っております。

 さて、今、マルコによる福音書12章41節以下をお読みいたしました。「やもめの献金」の物語です。このやもめの献げる姿は、献げものをする時のお手本となると言われます。やもめというのは、夫に先立たれた女性のことです。今では女性に限らず伴侶を失った男性のことも言うそうですけれども、ここでは女性のことです。当時、やもめは大変貧しい生活を強いられました。社会的な地位も低くされて、仕事に就くことも出来なかったからです。この物語は、そんな女の人が、神殿に来て神さまの御前に献金を献げたのをイエスさまがご覧になられて、お褒めになられた物語です。

 どうしてイエスさまが献金する人たちを見ておられたのかはわかりませんが、この物語の前に、神殿で商売をしている人たちを追い払って神殿清めをされたイエスさはが「わたしの家は祈りの家と呼ばれるべきである」とおっしゃられておりますので神殿が祈りの家となっているかを見ておられたのかもしれませんし、すぐ前のところでは律法学者たちの偽善に対する神さまの厳しい裁きをお話になられておりますから、それを賽銭箱の前でも見ておられたのかもしれません。とにかく、イエスさまは、誰がどれくらい献金していたかということはお分かりになったようです。どうして分かったのかということについてこういう説明がありました。賽銭箱の前に祭司が立っていて、「どこそこの、だれそれさんは、いくらいくら献金しました!」と言っていたからだと。あるいは、賽銭箱と言っても、わたくしたちが知っている神社にあるような箱型のものではなくて、ラッパのような形をしていて、そこに献金を入れると音が響き渡って、多く献金するとジャラジャラジャラーンと大きな音が響き渡って、少しだとチャリンチャリンとしか音が響かない仕組みであったと説明するものもあります。

 いずれにしても、たくさん献金して、それが知らされたり、音が響いたりすると、周りの人たちが「おおー!」なんて言って、気持ちが良かったかもしれませんね。お金持ちたちは自分を誇るために競うようにして多くの献金を献げたかもしれません。そういう中にこのやもめがいました。彼女の献金は2レプトンでした。レプトンというのは最小単位のお金です。日本の最小単位のお金で言えば2円ということになるでしょうか。たった2円の献金です。賽銭箱の前に立っている人は何も言わなかったかもしれませんね。賽銭箱もカランコロンと響かなかったかもしれませんね。だからこのやもめのことは誰の目にも留まらなかったのでしょう。けれどもイエスさまはこのやもめに目をお留になられたのです。そして、その献げる姿をお褒めになられたのです。

 でもね、わたくしなんかすぐにこう思っちゃうんです。「いやいや、イエスさま、生活費全部っていいますけどね、2円じゃ生活なんて出来ませんよ。20円だって無理です。だから彼女はどうせ持っていても仕方がないから、半ばやぶれかぶれで全部放り投げたんじゃないんですか?って。だって、やっぱり有り余るほどの中からであったとしてもたくさん献げられた方がいいじゃないですか。どうせ持っていても仕方ないものを献げられるよりもその方が役に立つじゃないですか?2円なんて何の足しになるんですか?」と、そう思っちゃう。

神さまに献げものをするなら大いに役立つような献げものをした方がいいに決まっている。誰よりもたくさんを、誰よりも優れたものを、誰にも真似できないようなことを、そういうものを神さまのために献げられた方が、神さまもお喜びになられるに違いない。役に立たないようなものなんか要らない。ちょっとなんていらない。そんな献げものをするのは、そもそも恥ずかしいし…。そんなことを考えたりすることがないでしょうか。

 時々、わたくしたちは、神さまの眼差しの中でではなく、神さまのお心に聞くこともしないで、神さまがお喜びになられるのはこれに違いないと勝手に決めつけてそんな風に考えてしまうことがあるのです。より立派なもの、よりたくさんのもの、より役立つもの、そんなことを自分で決めつけて、そうに違いないと思いこんでいることがあるのです。だから反対に、こんなものは何の役にも立たない。ちっとも立派じゃない。喜んでもらえない。そういう風に考えることもあるのです。そんな時、わたくしたちは、神さまのお心ではなくて、神さまのお声ではなくて、その慈しみの眼差しではなくて、人々の称賛の声や驚く声、あるいは自分が納得したり満足することを気にしているのではないだろうか…。神さまのためと言いながら、これがイイとかこれはダメとか、十分だとか足りないとか、役に立つとか立たないなんて言って、自分を誇る時や、自分を恥ずかしいと思う時があって、そんな時、すべてを見抜いておられる神さまの眼差しがあることを忘れていることがないだろうか。

 イエスさまは、やもめの献金をご覧になられて「誰よりもたくさん入れた。」とおっしゃいました。イエスさまがおっしゃられた「たくさん」というのは、たったの2レプトンでしたけれども、だからこそこの「たくさん」が、いわゆる「量」のことではないことはすぐにわかると思います。あるいは献げられた献金そのものの「質」でもありません。つまり、有り余ったものの中から献げられたものなのか、無いものの中から献げられたのか、そういうことでもありません。もちろん、イエスさまは、皆は有り余るものの中からで、このやもめは乏しい中からすべてを献げたとおっしゃっておられますから、それは大切なことなのでしょうけれども、でもだからと言って、居直るようにして「じゃぁ全部献げればいいんでしょ!」なんて言って献げたってそれは意味のないことだろうと思います。

 イエスさまが見ておられたのは、そのまなざしが捉えていたのは献げものの量や献げものそのものの質ではありませんでした。あるいは、夫に先立たれた哀れさとか、貧しさとか、社会的な地位とか、何を持っているか持っていないかとか、そういうことを見ておられたのでもないのです。イエスさまが見ておられたのは、その眼差しが捉えていたのは、このやもめその人自身です。その心の内です。信仰です。だから、このやもめもやぶれかぶれで献げものをしたのではありませんでした。信仰によって、ないもののなかから献げることが出来たのです。

 イエスさまが見ておられるのは、わたくしたちの持っている何かではないんです。わたくしたち自身を見ておられるのです。わたくしたちは、種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない空の鳥よりも価値あるものとされているのです。働きもせず、紡ぎもしない野の花よりも尊い存在とされているのです。そういう「わたし」をイエスさまは見ておられるのです。

 皆さんは神さまにお祈りすることが出来るでしょう。讃美の歌を歌うことが出来るでしょう。誰かを、大勢の人でなくとも、愛することが出来るでしょう。何よりも皆さんは神さまに愛されているでしょう。そうして神さまに愛されているのだから、わたしが何か持っているとするなら、お金だっていい、能力だっていい、他の何かであったっていい神さまに献げることが出来るのです。いや、お金なんか持っていなくたっていいんです、能力がなくったっていいんです、他に何も持ってなくったっていいんです、何を持っていようと持っていまいとそんなことによって神さまはわたしを見ておられないのですから、わたし自身を神さまの御前に献げることを神さまがどれほどお喜びになられるか、その神さまの喜びがどれほどわたくしにとってかけがえのない宝になるか、みなさんにはそういうイエスさまの眼差しが向けられていることを知って欲しいのです。このまなざしの中でこそ、わたくしたちはないものの中から献げることが出来るようになるのです。

 このやもめが、イエスさまが献げる姿をご覧になられて、お褒めになれたことを知ったかどうかはわかりません。けれども、わたくしたちは知っています。わたくしたちが持っている何かによってではなくて、わたくしたち自身を、神さまの御前に献げる姿をこそお喜びくださることを知っています。3日間の修養会を通して、主は、あなたがあなた自身を主の御前に献げる姿をお喜びくださることを確かに受け取りたいと思うのです。

 

 

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